当院で積極的に行っている胎児治療

当院で積極的に行っている胎児治療

胎児鏡下レーザー凝固術

双胎間輸血症候群(TTTS)に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術を本格的に開始しました。双胎間輸血症候群は、一絨毛膜双胎の約10%に発症しますが、早期発症の双胎間輸血症候群は無治療では予後不良です。いっぽう最近では双胎間輸血症候群に対する治療として胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術の有用性が認識されています。当院では双胎妊娠の周産期管理を精力的に行って参りましたが、当院では双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術を導入し、双胎妊娠の周産期予後のさらなる改善に取り組んで参ります。また双胎間輸血症候群には該当しない症例であっても、羊水量の差がある場合、血流異常を認める場合、体重差が著明な場合、無心体双胎などのハイリスク症例の御相談も随時受けつけております。ご相談はお電話でも受け付けておりますので、お気軽にご利用下さい。

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ラジオ波血流遮断術(RFA)

一絨毛膜双胎に由来するまれな合併症の1つに無心体双胎があります。これは1つの胎盤に正常児と心臓機能のない無心体が発育したものです。正常児と無心体の間には胎盤の血管吻合があるため、正常児の心臓が余分に働き続けることで無心体の発育が続くことがあります(このため正常児は「ポンプ児」と呼ばれます)。これをTRAP (twin reversed arterial perfusion) sequenceと呼びます。この状態が続くと、正常児は多尿による羊水過多や、過剰な心負荷による胎児心不全に陥ることがあり、正常児の生存率は50%未満と言われています。

TRAP sequenceに対する治療としてRFA(radio frequency ablation;ラジオ波焼灼術)が注目されており、当センターでも積極的に行っています。これは母体腹壁から針を進めてラジオ波を流し無心体の血流を遮断する治療法です。比較的低侵襲の手術で合併症も少なく、正常児の生存率は90%以上と報告されています。

RFA(ラジオ波焼灼術) について

胎児シャント

胎児シャントとは、細いチューブで胎児の身体の中に貯まった不要な水を身体の外に出す治療のことです。当院で行っているシャントには、胸の病気に対するものと尿路の病気に対するものがあります。

胎児胸水
一度胸水に針を刺して水を抜くことで状態が改善する児もいますが、多くは再び胸水が貯まります。このような場合に胸水と羊水の間に細いチューブを置き、持続的に胸水を身体の外に出す治療が胸腔-羊水腔シャントです。
胎児胸水
これによって肺の成長や胎児水腫の改善が期待できます。胸水に対するシャントは、2012年7月より健康保険で行うことができるようになりました。
また健康保険の対象外ですが、肺の中に水が貯まる病気(先天性嚢胞腺腫様奇形:CCAM等)に対しても、シャントによる一定の治療効果があることが分かってきています。

臍帯穿刺・胎児輸血

産まれる前の胎児にも大人と同様に、さまざまな原因(血液型不適合、先天感染、母児・胎児間輸血等)で貧血が生じることがありま。重症の胎児貧血の場合は、胎児の超音波検査で貧血の有無を推測することが可能です。万一、超音波検査で重症の貧血が疑われた場合に、臍帯(へその緒)を刺して血液を採取します(臍帯穿刺)。
貧血と診断された場合は、貧血の重症度や妊娠週数に応じて臍帯を通して輸血を行います(胎児輸血)。輸血によって貧血を改善した状態できれば、児にとってより好ましい状況で分娩することができると考えています。

EXIT(Ex utero intrapartum treatment)

胎児の気道閉鎖など、出生後直ちに呼吸ができないことが予測される場合、帝王切開し、胎児の上半身だけを子宮外に露出し、腹部や下半身を子宮内に止めたままで、すなわち胎児は臍帯を通じて母体から酸素をもらった状態で、気道確保(例えば気管切開)し、その後に児を娩出させる手技。

2005年に2例、先天性上気道閉鎖、及び口腔内腫瘍(上顎体)のある症例で実施し成功しました。