総長からのごあいさつ

総長からのごあいさつ

 2020年度には、当センターでは以下の3つの課題に取り組みます。

 2018年11月から大阪府より「小児救命救急センター」の指定を受け、3次小児救急医療を開始し、2019年11月からは2次救急医療を遂行できるよう、当センターをあげて取り組んできました。今年度は、これをさらに推進します。昨年度は地域の医療機関や消防署など関連する多くの機関のご協力とご理解をいただくべくさまざまな取り組みをしました。救急体制に備えることもかねて、1階東病棟を高度治療室(HCU)として運用し、病院間搬送や時間外の入院がよりスムーズになる体制を整えました。夏季までは感染対策などで、十分にHCU病床を活用しきれない状況もありましたが、現在は順調に活用されています。加えて、院内の当直体制などもより救急医療に適応したものとしました。本年度は、これらの取り組みを強化したいと考えています。地域の医療機関からの搬送依頼には必ず応え、ご依頼を断らないことを実践してきましたが、一層ご期待に添える体制となっています。今後とも、当センターをご利用いただけますようよろしくお願いいたします。

  「地域医療連携ネットワーク事業(南大阪MOCOネット)」を2018年3月から開始し、2019年は大幅に参加施設数を増やしました。2019年12月末現在、すでに診療所11、病院4、保健所3、訪問看護ステーション12、調剤薬局8、福祉施設3、合わせて41施設とネットワークが接続されました。当センターの患者基本情報、退院時サマリー、検査結果、画像情報などはもちろん、医師の皆さまには医師記録と看護記録もご覧いただけます。このサービスをさらに多くの連携施設に広げるとともに、将来的には双方向の患者情報交換、そしてTV電話システムを用いたリアルタイムなカンファランスも可能にしていきたいと考えています。このシステムは移行期医療や在宅医療の推進に大きな役割を果たしていくものと期待しています。

 第三に、当センターも施設の老朽化・狭隘化が目立ち、病院の建て替えが必要な状況です。これに向けて、医療需要予測などに基づいて、当センターが将来どのような診療科を必要とするのか、どのような規模の病院が求められるのかなどの基本的な検討をしてきました。本年度は次のステップに向けて準備を進めたいと思います。

 大阪母子医療センターは、1981年に周産期部門の診療を開始し、1991年には小児医療部門と研究所を開設しましたので、本年度は、それぞれの部門開設から39, 29年目となります。当初、大阪府における周産期医療の専門的基幹施設として、とくに特別なケアを要する妊産婦や低出生体重児、そして様々な疾患を持つ新生児に高度な医療を行うために開設され、地域保健機関等との連携による支援も行ってきました。小児医療部門開設後は、乳幼児・小児に対する高度な内科的・外科的医療を提供し、多くの希少・重篤疾患患児の治療にあたってきました。一方、最近はローリスクな分娩や幅広い小児疾患の診療にも力を入れています。研究所では母と子のより良い医療に反映させるべく、予防・診断・治療法が十分に解明されていない疾病の研究を行っています。

 当センターを退院した患児に対する継続的な地域の医療支援のためにも、また、多くの妊婦さん・患者さんをご紹介いただくためにも、地域連携はきわめて重要なここと考えています。地域医療連携機関の登録制度を導入することにより、これまで438施設の登録申請をいただいています。患者支援センターでは、2015年7月からスタートした入退院センターも順調に稼働しています。患者支援センターでは多職種間の連携を密にし、患児の前方支援から後方支援まで総合的なサービスを提供しております。今後、ICTによる在宅医療支援などの地域医療連携も充実させます。ご協力・ご支援のほどよろしくお願いいたします。

 このように充実した周産期・小児医療を提供することを通じて若い医療従事者の育成にも力を注いでいきたいと考えています。当センターでは若い看護師やコメディカルの方々に対する教育体制が整えられています。また、専門医制度の中で小児科は基幹施設として登録されています。他の診療科も大阪大学を始め、大阪医科大学、近畿大学などのプログラムの中で連携施設としての役割を果たし、若い先生方が当センターですばらしいキャリアを積んでいただけるよう教育体制を整備しています。また、研究所を含め臨床に即した研究をさらに発展させたいと考えています。

 これからも、こども達とご家族に「勇気、夢そして笑顔」を与えられるよう、また、若い医師・看護師・コメディカルなどの皆様が当センターで勤務したい、研修したいと憧れて頂ける母子医療センターとなるべく職員が一丸となって取り組んでいきたいと考えます。

 今まで以上に、皆様のご理解、ご協力、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

(2020年4月)

地方独立行政法人大阪府立病院機構
大阪母子医療センター
総長 倉智 博久