総長からのごあいさつ

総長からのごあいさつ

今年度は、当センターでは以下の3つの課題に取り組みます。第一に、1階東病棟に8床の小児集中治療室(PICU)の後方ベッドを設け、高度治療室(HCU)として運用し、病院間搬送や時間外の入院がよりスムーズになる体制を整えます。今までも、地域の医療機関からの搬送依頼には必ず応え、ご依頼を断らないことを実践してきましたが、一層ご期待に添える体制を整えます。今後とも、当センターをご活用いただけますようよろしくお願いいたします。第二に、地域連携をより緊密にするため、ICTを活用して当センターの医療情報を連携施設と共有できる「地域医療連携ネットワーク事業」に取り組みます。すでに数か所の連携施設では、当センターの患者基本情報、退院時サマリー、検査結果、画像情報などをご覧いただける状況にあります。今年度は、このサービスをさらに多くの連携施設に広げるとともに、開示情報も、可能な範囲で医師記録、看護記録にも広げていきたいと考えています。第三に、当センターも周産期棟の開設から37年、小児棟も27年がたち、施設の老朽化が目立ちますので、10年程度先には病院の建て替えも考えなければなりません。これに向けて、医療需要予測に基づいて、当センターが将来どのような診療科を必要とするのか、どのような規模の病院が求められるのかなどの基本的な検討を始めていきたいと考えています。

大阪府立母子保健総合医療センターは、1981年に周産期部門の診療を開始し、1991年には小児医療部門と研究所を開設しました。当初、大阪府における周産期医療の専門的基幹施設として、とくに特別なケアを要する妊産婦や低出生体重児、様々な疾患を持つ新生児に高度な医療を行うために開設され、地域保健機関等との連携による支援も行ってきました。小児医療部門では乳幼児・小児に対する高度な内科的・外科的医療を提供し、多くの希少・難治・重症疾患患児の治療にあたってきました。最近は、正常な分娩や一般的な小児の内科的・外科的疾患にも力を入れています。大阪府では重篤小児患者受け入れ体制の整備が進み、当センターはその基幹施設としての役割を果たしています。大阪府全域から重篤小児患者を積極的に受け入れるとともに、病院間搬送や救急隊からの救急医療のご依頼にお応えする体制を整えています。研究所では母と子のより良い医療に反映させるべく、予防・診断・治療法が十分に解明されていない疾病の研究を行っています。

当センターを退院した患児に対する継続的な医療支援のためにも、また、多くの妊婦さん、患者さんをご紹介いただくためにも、地域連携はきわめて重要なここと考えています。地域医療連携機関の登録制度を導入することにより、これまで約430施設の登録申請をいただいています。患者支援センターでは、多職種間の連携を密にして患児の前方・後方支援など総合的な医療サービスを提供しています。今後、冒頭に詳述しましたように、ICTによる在宅医療支援などの地域医療連携を充実させます。ご協力・ご支援のほどよろしくお願いいたします。

当センターは2013年2月に、小児がん拠点病院の一つとして認定されてきましたが、昨年再認定されました。新たに先進医療として、2015年2月より小児腎移植を再開し、確実に症例数を増やしております。これまで、腎移植が必要な患児は関東で移植手術を受けていましたので、今後は母子医療センターが西日本の中核施設になりたいと考えています。

このように充実した周産期・小児医療を提供することを通じて若い医療従事者の育成にも力を注いでいきたいと考えています。当センターでは若い看護師やコメディカルの方々に対する教育体制が整えられています。また、専門医制度の中で小児科は基幹施設として登録されています。他の診療科も大阪大学を始め、大阪医科大学、近畿大学などのプログラムの中で連携施設としての役割を果たし、若い先生方が当センターですばらしいキャリアを積んでいただけるよう教育体制を整備したいと考えています。また、研究所を含め臨床に即した研究をさらに発展させたいと考えています。

これからも、こども達とご家族に「勇気、夢そして笑顔」を与えられるよう、また、若い医師・看護師・コメディカルなどの皆様が当センターで勤務したい、研修したいと憧れて頂ける母子医療センターとなるべく職員が一丸となって取り組んでいきたいと考えます。

昨年は当センターの名称を変更しましたが、これを吉書に、今までの輝かしい歴史に新たな実績を積み上げていきたいと考えています。また、地域医療連携にもますます力を入れ、「地域で頼りにされる病院」、「依頼されたら断らない病院」であり続けます。

今まで以上に、皆様のご理解、ご協力、ご支援をよろしくお願い申し上げます。 

(2018年4月)

地方独立行政法人大阪府立病院機構
大阪母子医療センター
総長 倉智 博久