世界では年間1,500万人が早産でうまれ、そのうち100万人のこどもが早産や合併症で亡くなっています。早産とは在胎週数22週から37週未満で出産することをさします。わが国の早産率は6%弱で、年間5~6万人もの赤ちゃんが早産で産まれています。早産は児の呼吸器系や神経系などの合併症と関連することがあり、周産期医療にとっては最大の課題です。早産の予防こそが、周産期死亡及び続発する合併症による障害発生の防止に最も効果的であり、少子化対策上も重要な課題となっています。
さて、早産の主な原因として、細菌による胎内感染や炎症が3分の1に及ぶとされています。妊産婦や高齢者、新生児など免疫力の低下した人にだけ病原性を示す感染症を無くすことはきわめて難しい課題です。なぜなら、多くの健康な人は無症状にもかかわらずこれらの細菌を保有しているからです。さらに抗菌薬の効きにくい細菌(薬剤耐性菌)であればなおさら対応は難しくなります。我々は「次世代の疲弊化」につながる早産の原因細菌を抑え込む為の、診断技術や、新たな治療法の開発に取り組んでいます。お母さんと子どもたちの未来のために役立てるよう研究を行っています。
免疫部門 部長 柳原 格
WHO, Preterm Birth International Collaborative, Member
United States-Japan Cooperative Mdeical Science Program (日米医学協力研究会研究員)
日本マイコプラズマ学会理事
日本細菌学会 バイオセーフティー委員会委員
大阪大学医学研究科 細胞認識機構学 招へい教授