大阪母子医療センターは周産期の病院としてスタートして以降、周辺地域の医療機関とも密接な連携をとりつつ、正常新生児のみならず早産や低出生体重児、あるいは外科疾患や心臓疾患などの合併症をもった新生児に対応してきました。
また最近では胎児期に治療を施された新生児も多く出生するようになってきています。このような新生児は出生時に正常であると思われても脳性まひや精神運動発達の遅れなどの合併症がでてくる可能性は正常新生児に比べて高いといわれています。低出生体重児の死亡率は大きく減少し、救命の時代から、合併症なき生存へと進んできました。
そして現在では、退院後の発育・発達の質を評価するフォローアップの重要性が強く認識されています。また、外科疾患、心臓疾患を持って生まれた児は、手術という大きな侵襲を受け、それは長期にわたり発育や発達に影響を及ぼすことがあり、同じように長く経過を見て行くことが必要です。
そして病院という日常とかけ離れた環境におかれる児にとっては、光や音などの環境などからも無意識に多くの“侵襲”を受けています。このようなこどもは、就学後に学習障害や行動の問題、発達障がいが顕在化してくることもあります。内分泌や栄養の側面からも、成人病をも視点において長期的なフォローアップが必要です。そして、家族を含め適切な援助をすることも同じように重要で、そのためには、保健師など他職種のスタッフが連携した体制が必要となります。
このような背景から、新生児科、消化器・内分泌科、小児神経科、子どものこころの診療科、小児循環器科、小児外科、心理士、保健師、看護師の多岐に渡る職種で構成されたメンバーでトータルな発達フォローを行っています。
出生体重、胎児治療、外科手術、循環器手術なとの区分に分類し、修正4ヶ月、7ヶ月、10ヶ月、1歳半、3歳、4歳半、6歳のキーエイジを含め、それぞれ、外来フォローアップを行っています。
心理士による心理発達検査の施行、院内の保健師による家族面談をおこなって、助言や保健指導も行っています。発達外来での診察の前後で、子どもの成長や発達の状況を関連のスタッフで共有し、本人、家族にフィードバックしています。
平野 慎也
臨床研究部主任部長 (兼)治験推進室長 (兼)臨床研究支援室長 (兼)発達外来推進室長
主な専攻分野 | 新生児学 |
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所属学会・資格など | 日本小児科学会 代議員 日本小児科学会 薬事委員 日本新生児成育医学会 評議員 日本周産期・新生児医学会 評議員 日本小児臨床薬理学会 運営委員 日本小児突然死予防医学会 評議員 新生児内分泌研究会 幹事 ハイリスク児フォローアップ研究会 常任幹事 新生児臨床研究ネットワーク 理事 日本小児科学会認定 小児科専門医 指導医 日本周産期・新生児医学会認定 新生児蘇生法インストラクター |
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