小児耳鼻咽喉科疾患全般を対象としています。当科では小児難聴、小児気道疾患に対する診療体制が整っています。
小児難聴については、ABR、ASSR(気導・骨導)を備え、補聴器適応症例では地域の療育施設と連携をはかりながら、早期診断、早期介入を行っています。鼓膜チューブ挿入術、鼓室形成術、人工内耳埋込術を行っており、鼓室形成術では、症例に応じて内視鏡下で低侵襲に行っています。
小児気道疾患については、麻酔科の協力の元、症例に応じて非挿管全身麻酔・自発換気下での検査・治療も行っており、当科の特徴となっています。
入院に、保護者の付き添いは必須ではなく、可能な限り短期入院を心がけています。
難聴、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎
睡眠時無呼吸症候群、口蓋扁桃肥大、アデノイド増殖症、喉頭軟化症、気道血管腫、気道乳頭腫、気道異物
嚥下障害、先天性耳瘻孔、舌小帯短縮症、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、鼻・副鼻腔炎、正中頸嚢胞、梨状窩瘻など
大阪府の精密聴力検査機関(6病院)のひとつで、例年大阪府内の新生児聴覚スクリーニングrefer(要再検)児の約3割(最多)を精査し、その後の補聴や療育、人工内耳診療などへつなげています。
耳鼻咽喉科専属のST(言語聴覚士)4名体制で、年齢、発達に応じてCOR(※1)などの聴力検査を行い、ABR(※2)も初診当日を除いて、待機期間なく検査しています。
聴力の他覚的評価として、ABR、OAE(※3)、気導ASSR(※4)に加え、骨導ASSRを備えており、幼少時から伝音難聴の精査が可能です。
高度難聴や進行性難聴の患者さんには、積極的に遺伝学的検査をすすめ、遺伝診療科と協力して検査しています。保険診療内の検査で異常が判明しない場合は、2020年より、他施設との共同研究に参加しており、研究での更なる遺伝学的な精査が可能となっています。
人工内耳植込術は両側同日手術にも対応しており、専任STによる術後のハビリテーションも患者さんごとの発達に合わせて丁寧に行っています。 鼓室形成術は、患者さんに応じて内視鏡下で低侵襲に行っています。
軟骨伝導補聴器の取扱医療機関であり、試聴、フィッティングが可能です。
扁桃肥大、アデノイド増殖を伴う睡眠時無呼吸に対しては、麻酔科、PICUなど万全な体制が整っており、低年齢でも手術可能ですので、ご相談ください。
麻酔科協力の下、症例に応じて非挿管で全身麻酔をかけ、自発換気下での喉頭・気管検査、治療を行っています。覚醒時に号泣しながら行う喉頭ファイバーよりもはるかに自然な状態で観察でき、診断精度向上に役立っています。対象疾患は、喉頭軟化症、声門下狭窄、声帯麻痺などで、特に当科は喉頭軟化症に対する声門上形成術を行っている国内で数少ない施設のひとつで、本術式は合併症のない方では、早期に呼吸補助が不要になるなど良好な治療成績となっています。
生後0日から成人までの気管切開を行っており、退院後はカニューレ外来で定期観察し、成長に合わせて適宜、カニューレを調整したり、気管切開孔の閉鎖へ向けて評価したりしています。
重度の嚥下障害に対しては、喉頭気管分離術を行っています。術式は、より術後合併症発生率の低いとされている、声門下閉鎖術を採用しています。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|
初診患者数 | 846 | 819 | 798 | 846 |
再診患者数 | 8046 | 9213 | 8633 | 14448 |
入院患者数 | 414 | 377 | 347 | 450 |
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|
純音聴力検査 | 2042 | 2011 | 1922 | 1739 |
COR | 1891 | 1993 | 1988 | 1872 |
ABR | 382 | 332 | 361 | 290 |
Peep show test | 542 | 470 | 526 | 548 |
BOA | 165 | 188 | 143 | 153 |
遊戯聴力検査 | 443 | 399 | 419 | 437 |
ASSR | 19 | 11 | 19 | 16 |
DPOAE | 110 | 120 | 91 | 100 |
ティンパノメトリー | 98 | 135 | 66 | 69 |
補聴器適合検査 | 724 | 743 | 692 | 679 |
術式 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
耳 | 鼓室形成術 | 43 | 46 | 45 | 26 |
乳突削開術 | 15 | 30 | 13 | 1 | |
人工内耳植込手術 | 6 | 9 | 13 | 17 | |
アブミ骨手術 | 1 | 1 | 1 | ||
鼓膜チューブ挿入術(耳数) | 400 | 268 | 240 | 338 | |
先天性耳瘻管摘出術 | 7 | 8 | 9 | 16 | |
外耳道真珠腫/腫瘍摘出術 | 6 | 1 | 6 | 8 | |
副耳切除術 | 6 | 1 | |||
鼻 | 内視鏡下鼻・副鼻腔手術 | 5 | 2 | 4 | 1 |
鼻中隔矯正術 | 4 | 1 | 5 | 2 | |
鼻甲介切除術 | 6 | 8 | 7 | 4 | |
口腔咽頭 | 扁桃摘出術 | 99 | 100 | 79 | 142 |
アデノイド切除術 | 134 | 96 | 77 | 164 | |
舌小帯形成術 | 7 | 2 | 1 | ||
舌・口腔良性腫瘍摘出術 | 1 | 1 | |||
喉頭気管 | 声門上形成術 | 6 | 1 | 1 | 5 |
喉頭検査/手術 | 13 | 14 | 6 | ||
喉頭腫瘍摘出術 | 5 | 12 | 2 | ||
気管支鏡 | 7 | 5 | 4 | 20 | |
喉頭気管分離 | 10 | 7 | 9 | 6 | |
気管切開術 | 24 | 18 | 15 | 17 | |
気管内肉芽除去術 | 3 | 2 | 7 | ||
気管孔狭窄拡大手術 | 2 | 1 | 1 | 5 | |
気管切開孔閉鎖術 | 5 | 4 | 3 | ||
頸部 |
頸嚢・頸瘻摘出術 |
3 | 2 | 2 | 5 |
気管異物摘出術 | 5 | 6 | 1 | 1 | |
異物摘出術(外耳・鼻腔・咽頭) | 7 | 3 | 2 | 5 |
岡﨑 鈴代
主任部長
主な専攻分野 | 耳疾患、小児気道疾患 |
---|---|
所属学会・資格など | 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医 耳鼻咽喉科専門研修指導医 補聴器適合判定医 補聴器相談医 難病指定医 小児慢性特定疾病指定医 身体障害者福祉法第15条指定医 めまい相談医 医学博士 日本小児耳鼻咽喉科学会 評議員 日本耳鼻咽喉科学会 日本小児耳鼻咽喉科学会 日本聴覚医学会 日本気管食道科学会 耳鼻咽喉科臨床学会 日本めまい平衡医学会 |
略歴 | 財団法人住友病院 大阪大学大学院医学系研究科 博士課程 ハイデルベルク大学人工内耳センター 大阪大学医学部附属病院 助教 大阪市立総合医療センター |
ひとこと | お子さんの成長を、ご家族に寄り添いながら耳鼻科的にサポートしていくことを心掛けています。 |
原田 祥太郎
医長
主な専攻分野 | 耳鼻咽喉科一般 |
---|---|
所属学会・資格など | 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医 耳鼻咽喉科専門研修指導医 補聴器適合判定医 医学博士 日本耳鼻咽喉科頭部外科学会 日本耳科学会 日本頭頚部外科学会 日本気管食道科学会 耳鼻咽喉科臨床学会 日本めまい平衡医学会 日本小児耳鼻咽喉科学会 |
略歴 | 堺市立総合医療センター 大阪大学大学院医学系研究科 博士課程 |
上野 裕也
診療主任
主な専攻分野 | 耳鼻咽喉科一般 |
---|---|
所属学会・資格など | 日本専門医機構認定耳鼻咽喉科専門医 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 日本めまい平衡医学会 |
略歴 | 大阪労災病院 大阪大学医学部附属病院 |
宮本 憲征
主な専攻分野 | 耳鼻咽喉科一般 |
---|---|
所属学会・資格など | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 日本頭頸部外科学会 日本小児耳鼻咽喉科学会 |
略歴 | 市立池田病院 八尾市立病院 大阪大学医学部附属病院 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1診 | AM | ABR | 宮本 | 原田/上野 | 上野/原田 | ABR |
PM | 岡﨑 | ABR | ||||
2診 | AM | 手術 | 原田/上野 | 手術 | 岡﨑/宮本 | 手術 |
PM | 遇)補聴器 | |||||
カニューレ | AM | 岡﨑/原田 | 原田/上野 | |||
PM | 宮本 |
奇数週/偶数週
小児医療部門
(内科系)
中央診療部門