
大阪母子医療センター心臓血管外科では、新生児から成人期までの先天性心疾患に対し、外科治療を行っています。
循環器内科(小児循環器科)、集中治療科、麻酔科、新生児科、臨床工学技士、看護師など、小児医療に特化した専門スタッフが連携し、チームで治療にあたっています。
手術が必要なお子さんとご家族が安心して治療に臨めるよう、一人ひとりの状態に合わせた小児心臓手術を行っています。

先天性心疾患(生まれながらの心臓病)は、約100人に1人の割合でみられる比較的頻度の高い疾患です。
そのうち約3分の1は、新生児期や乳児期早期に心臓手術が必要となります。
1回の手術で治療が完了する場合もありますが、多くは段階的に手術を行いながら、最終的な修復を目指します。
当科では、お子さんの成長や将来の生活の質を見据え、可能であれば小学校入学前までに最終手術が完了することを目標としています。
手術を受けたお子さんが、その後何十年にもわたり元気に生活できるよう、1例1例の手術に全力で取り組んでいます。
心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、ファロー四徴症などの比較的頻度の高い疾患に加え、単心室、左心低形成症候群(HLHS)、完全大血管転位、総肺静脈還流異常など、新生児期に手術を必要とする複雑な心疾患にも対応しています。
手術の約半数は新生児・乳児(1歳未満)の症例であり、重症例や緊急手術にも対応しています。
また、成人先天性心疾患の患者さんの診療にも対応しています。
*詳しい手術件数や疾患別の実績については、診療実績ページをご覧ください。
1991年の小児医療部門の開設以来、当科は先天性心疾患に対する外科治療を担ってきました。
新生児期からの重症先天性心疾患や緊急手術にも対応しており、24時間体制で受け入れを行っています。また、大阪府内に限らず、奈良県や和歌山県など近畿圏からも多くの患者さんをご紹介いただいています。
当科では、開設当初より難易度の高い先天性心疾患手術にも継続的に取り組んでまいりました。左心低形成症候群(HLHS)に対するNorwood手術においては、右室‐肺動脈導管(RV-PA conduit)を用いた術式を当科から報告しており、本領域の治療発展に寄与してきました。
*参考文献 ・Kishimoto H, Kawahira Y, Kawata H, et al. The modified Norwood palliation on a beating heart. J Thorac Cardiovasc Surg. 1999;118:1130-1132. ・岸本英文.左心低形成症候群に対する右室‐肺動脈導管を用いたNorwood手術:発想とその後の経緯.日本小児循環器学会雑誌.2019;35(2):91-98.

先天性心疾患の治療では、手術だけでなく、術前評価、術後管理、発達や栄養面の支援まで含めた総合的な対応が重要です。
当科では、循環器内科、集中治療科、麻酔科、新生児科に加え、看護師、臨床工学技士、心理士、理学療法士など、多職種が連携し、包括的な医療を提供しています。
心臓カテーテル検査、心臓超音波検査(エコー)、胸部CT検査などを行い、循環器内科との合同カンファレンスで手術の必要性や時期を慎重に検討します。
手術には、人工心肺装置を用いて心臓内を修復する開心術と、人工心肺を使用しない非開心術があります。
重症の心不全や呼吸不全に対しては、補助体外循環(ECMO)を用いた治療も行っています。
術後は小児集中治療室(PICU)で集中治療科と連携して管理を行い、その後は循環器内科と協力して退院に向けた治療を行います。
退院後は、心臓血管外科と循環器内科が連携して外来フォローを行います。
小児心臓手術を受けられる患者さんとご家族に向けて、入院から手術、退院までの一般的な流れをまとめています。
先天性心疾患や小児心臓手術についてご不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
遠方から受診される患者さんにも対応しています。
当科では、新生児や重症例を含む幅広い先天性心疾患に対する手術を年間150〜180例実施しており、関連処置を含めると年間200〜280件の手術・処置に対応しています。
全国の手術症例データベースであるNational Clinical Database (NCD)に基づく解析では、手術成績の指標であるOE比*は、2025年は術後30日死亡 0.57、手術関連死亡 0.39 と、いずれも全国平均(1.0)を下回っています。
*OE比は「予測されるリスクと比べて、どのくらい良い結果だったか」を示す指標で、1.0が全国平均、1より低いほど良好とされています。
| 年 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 開心術 | 131 | 112 | 123 | 89 |
113 |
127 | 131 |
| 心房中隔欠損症 | 9 | 11 |
9 |
8 |
6 |
7 | 14 |
| 心室中隔欠損症 | 27 | 22 | 24 | 20 | 31 | 26 | 26 |
| 心内膜床欠損症 | 3 | 3 | 5 | 1 | 5 | 2 | 4 |
| ファロー四徴症 | 10 | 6 | 7 | 11 | 4 | 11 | 13 |
| 完全大血管転位 | 3 | 5 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 |
| 総肺静脈還流異常 | 4 (1) | 2 | 1 | 1 | 3 | 3 | 2 |
| 大動脈縮窄/離断 | 6 | 4 | 3 | 9 | 5 | 7 | 7 |
| 単心室類似 | 22 (1) | 23 (1) | 22 | 10 |
20(1) |
30(1) | 15 |
| 左心低形成症候群 | 11 | 6 | 5 | 2 (1) | 6 | 3(1) | 4 |
| その他 | 36 | 30 | 44 | 26 | 32 | 37(1) | 43(1) |
| 非開心術 | 50 | 43 | 38 | 44 |
53 |
50 | 51 |
| 体肺動脈短絡術 | 6 | 9 | 5 | 8 | 4 | 5 | 7 |
| 肺動脈絞扼術 | 4 | 4 | 7 | 8 | 13 | 7 | 9 |
| 両側肺動脈絞扼術 | 6 | 6 | 4 | 5 | 7 | 5 | 7 |
| 動脈管手術 | 12 | 9 | 14 | 8 | 6 | 15 | 10 |
| ペースメーカー | 11 (1) | 13 | 11 | 13 | 15 | 11 | 8 |
| その他 | 11 | 2 | 8 | 2 | 6 | 6 | 10 |
| 心・大血管以外 | 83 | 83 | 58 | 28 | 42 | 103 | 62 |
| 合計 | 264(3) | 238(1) | 219(0) | 161(1) | 208(1) |
280(3) | 244(1) |
津村 早苗
Sanae Tsumura
主任部長
| 主な専攻分野 | 先天性心疾患 |
|---|---|
| 所属学会・資格など | 日本外科学会認定 外科専門医 日本外科学会指導医 心臓血管外科専門医・修練指導者 小児心臓血管外科医生涯育成プログラム 育成指導医(Advanced-3) 日本胸部外科学会 評議員 日本心臓血管外科学会 評議員 日本小児循環器学会 評議員 |
| ひとこと | こどもたちが元気におうちに帰ることができるよう全力を尽くします |
金谷 知潤
Tomomitsu Kanaya 副部長
| 主な専攻分野 | 先天性心疾患 |
|---|---|
| 所属学会・資格など | 日本外科学会認定 外科専門医 心臓血管外科専門医・修練指導者 |
| ひとこと | 一秒懸命、一生懸命 |
谷本 和紀
Tanimoto Kazuki 診療主任
| 主な専攻分野 | 先天性心疾患 |
|---|---|
| 所属学会・資格など | 日本外科学会認定 外科専門医 心臓血管外科専門医 |
| ひとこと | それぞれの患者さんにとって一番いい治療を提供できるよう、努めてまいります。 |
宇多 佑介
Yusuke Uda
| ひとこと | こどもたちとご家族が元気に暮らせるよう頑張ります |
|---|
岡﨑 早也圭
Sayaka Okazaki
| ひとこと | こどもたちご家族さんみんなが笑顔になれるよう寄り添い尽力します |
|---|
小児医療部門
(内科系)
中央診療部門