当院は「CAR-T細胞療法(キムリア®)︎ の提供可能施設として認定されています。
血液・腫瘍科は小児がん(白血病を含む)をはじめ、血液疾患、慢性活動性EBウイルス感染症、免疫疾患など難病の治療に取り組んでいます。集学的治療(抗がん剤治療、手術、放射線治療などを上手く組み合わせて行う治療)の進歩とともに、小児がん(白血病を含む)の7割前後に治癒を期待できるようになりました。
小児がんを治せる時代が到来した一方で、厳しい治療の影響による晩期合併症(後遺症)が小児がん経験者にとって新たな課題となっています。小児がんの更なる治療成績の向上、闘病中の勉強、晩期合併症対策、就労、家族支援を視野に入れた診療・支援体制を充実させるために、当センターでは多職種・多部門が協力して小児がんに取り組む小児がんセンターが活動しています。
血液・腫瘍科は治すことが難しいと判断せざるを得ない患者さんに対して新規治療法開発による治療成績の向上を図ってきました。また、「晩期合併症なき治癒」をスローガンに、副作用の少ない骨髄非破壊的造血幹細胞移植(RIC)や免疫療法を導入することにより、治療関連晩期合併症を最小限に抑えることに取り組んでおり、小児がん経験者の長期フォローアップにも力を注いでいます。さらに、診療だけでなくセカンドオピニオンも積極的に引き受けています。
すべての小児がん | 白血病、悪性リンパ腫、神経芽腫、脳腫瘍、肝芽腫、横紋筋肉腫、腎芽腫など。 |
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血液疾患 | 再生不良性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)など。 |
EBウイルス関連疾患 | 慢性活動性EBウイルス感染症、血球貪食症候群など。 |
免疫不全症 |
骨髄検査、脳脊髄液検査、CT検査、MRI検査、超音波画像診断。
造血細胞移植は、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植すべて施行可能で、非血縁者間造血幹細胞移植施設の認定を受けています。移植実績は小児領域でトップクラスです(日本造血細胞移植データセンター全国調査報告書)。
従来型の移植ドナーが見つからなくても、親からのHLA半合致移植が施行可能です。この場合、移植後シクロホスファミドを用いてGVHD予防を行います。当科では2011年から取り組んでおり、全国有数の歴史と経験を有しています。
それとは別に、移植後再発や寛解導入不能など超難治性白血病に特化した、免疫学的抗白血病効果を狙うタイプのHLA半合致移植にも積極的に取り組んでいます(Higuchi K, et al. Int J Hematol. 2022; 115(3): 406-413)。
慢性活動性EBウイルス病(慢性活動性EBウイルス感染症)に対する同種造血幹細胞移植でも、世界有数の歴史ならびに移植実績を有しています。
分子標的薬や免疫療法といった新しい製剤を、保険適応を遵守して積極的に活用し、従来の治療との融合を図っています。とくに同種造血幹細胞移植と組み合わせ、2008年から分子標的薬のチロシンキナーゼを用いて成績が改善しており、近年では免疫療法のジヌツキシマブなども導入しております。
2022年の「小児がん」新規診断総数は、52件でした。また造血細胞移植の実施総数は、20件でした。
「白血病など血液がん」の新規診断総数は、15件でした。主な疾患は、急性リンパ性白血病 8件、悪性リンパ腫 3件でした。
「悪性固形腫瘍(脳腫瘍を除く)」の新規診断総数は、23件でした。主な疾患は、神経芽腫 7件、胚細胞腫瘍(脳腫瘍を除く) 3件、軟部肉腫 2件、肝芽腫2件でした。また「脳腫瘍」の新規診断総数は、14件でした。
「造血細胞移植」は、自家移植5件、同種移植15件でした。当科は基本的に同種移植に対して強度減弱前処置(reduced intensity conditioning: RIC)を用いる移植を行う方針です。2022年の同種移植15例中RICを用いた移植は15件全例でした。難治症例を対象とするHLA半合致移植の実施数は、1件でした。なお1991年オープン以来2022年末までの移植(自家、同種)総数は1,087回となっています。
澤田 明久
主任部長
主な専攻分野 | 小児がん・白血病、血液疾患 EBウイルス関連疾患(慢性活動性EBウイルス感染症など) 造血幹細胞移植 自己免疫疾患 血球貪食症候群 小児がん長期フォローアップ |
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所属学会・資格など | 日本小児科学会認定小児科専門医・指導医 日本血液学会認定血液専門医・指導医・評議員 日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医・指導医・評議員 日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植認定医・評議員 日本輸血・細胞治療学会細胞治療認定管理師 日本小児リウマチ学会会員 日本癌学会会員 日本免疫不全・自己炎症学会会員 |
佐藤 真穂
副部長
主な専攻分野 | 小児がん・白血病、血液疾患 EBウイルス関連疾患(慢性活動性EBウイルス感染症など) 造血幹細胞移植 小児がん長期フォローアップ 自己免疫疾患 血球貪食症候群 |
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所属学会・資格など | 日本小児科学会認定小児科専門医・指導医 日本血液学会認定血液専門医・指導医 日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医・指導医・評議員 日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植認定医 日本がん治療認定医機構・がん治療認定医 |
樋口 紘平
副部長
主な専攻分野 | 小児がん・白血病、血液疾患 EBウイルス関連疾患(慢性活動性EBウイルス感染症など) 造血幹細胞移植 自己免疫疾患 血球貪食症候群 院内感染対策 |
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所属学会・資格など | 日本小児科学会認定小児科専門医・指導医 日本血液学会認定血液専門医 日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医 日本造血・免疫細胞療法学会 造血細胞移植認定医 日本がん治療認定医機構・がん治療認定医 日本小児感染症学会ICD |
岡田 洋介
医長
主な専攻分野 | 小児がん・白血病、血液疾患 EBウイルス関連疾患(慢性活動性EBウイルス感染症など) 造血幹細胞移植 自己免疫疾患 血球貪食症候群 |
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所属学会・資格など | 日本小児科学会認定小児科専門医・指導医 |
井上 将太
中田 佳世
応援医師
所属学会・資格など | 社会医学系専門医・指導医 日本小児科学会認定小児科専門医 日本血液学会認定血液専門医 日本小児血液・がん学会 小児血液・がん専門医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 |
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河 敬世
顧問
小児医療部門
(内科系)
中央診療部門