MENU MENU CLOSE CLOSE

調べる

診療科・部門のご案内

キービジュアル

尿道下裂

尿道下裂とは、尿道の形成が未熟な状態で次のような障害の原因になります。

  • おちんちんが下向き(陰茎腹側)に屈曲しているため、まっすぐに勃起しません。将来性交渉の妨げになります。
  • 尿道が短く、尿の出口(外尿道口)がおちんちんの先(亀頭部)にないため立位での排尿が困難です。
  • 包皮が左右に開いた形をとるため、外観上普通と異なった印象を与えます。

1. 治療方法

治療法は手術しかありません。手術名は 尿道下裂修復術 で、高度の手術手技が必要となります。

全身麻酔下で行います。まず、包皮や陰茎の屈曲となるつっぱり(索組織など)を剥離あるいは切除して陰茎の屈曲を治します。

それでも屈曲が強い場合は尿道と反対側(陰茎背側)を手繰り寄せて陰茎全体がまっすぐになるように矯正する場合もあります。

次に足りない尿道を形成します。尿道形成には尿道に成長する予定だった組織(尿道板)や包皮の一部を使用します。人工的な異物は使用しません。

最後に包皮の形を亀頭部が一部露出した状態に整え、終了します。術後は尿道にカテーテルを留置し(1~2週間)、排尿を管理します。原則的に陰茎屈曲の矯正と尿道形成を一回の手術で済ませる一期的修復術を採用しています。

2. 手術の危険性、合併症について、及びその対応

  1. 難度の高い手術で、下記の合併症が起こる率は決して低くありません。
    尿道下裂にはさまざまな程度があり、高度のものほど手術は困難となります。軽度の尿道下裂では成功率は90~95%ですが、高度の症例では、2、3人に一人の割合で何らかの再手術が必要となります。
    非常に重症な尿道下裂の場合は段階的に治療を分けて行うこともあり、手術が複数回におよぶ可能性があります。
  2. 若干の出血が予想されますが、普通は輸血の必要性はありません。術後は止血のため2~4日間局所の圧迫固定を行います。
  3. 非常に細菌感染を起こしやすい場所です。術中、術後に感染症予防のため細心の注意を払っていますが、それでも数%には創部の感染が起こり、次に示す合併症の発生率が高くなる恐れがあります。
  4. 尿道下裂修復術の合併症は主に形成した尿道の不具合によるもので、尿道の一部に穴が開いた(瘻孔)、尿道が狭くなった(狭窄)、先端が開いて後退した、尿道が腫れる(憩室)などがあり、くりかえし(再)手術が必要な場合があります。