診療科概要
麻酔科医は、患者さんが安全にストレスなく手術をうけていただくことを目指しています。手術・麻酔中の重要臓器(脳・心臓・肺・肝臓・腎臓など)に異常がないかを常にチェックし、問題となりそうな場合は治療を行うことを仕事としています。 子どもさんも妊婦さんも一般成人とは異なる点が多く、麻酔管理も高い専門性が要求されます。そのため、ハイリスクと考えられる患者さんは各科と合同カンファレンスを頻繁に行い、情報共有をしっかり行った上で診療に当たっています。
また、我々は小児・産科病院としての使命を自覚し、日々通常診療の合間に勉強会を実施し高い専門性の維持に努めています。
当センターでは局所麻酔で行う手術以外の、全ての小児・産科手術の麻酔管理を麻酔科医が行っています。365日24時間体制で緊急手術を受け入れる体制を整えています。2020年の麻酔科管理症例件数は約5,200例で、産科および小児の専門施設として、国内でも有数の手術症例数の全身管理をしています。
また、当センターの麻酔科は集中治療科との交流が盛んであり、常に人事交流をしています。
子どもの麻酔
当センターでは子どもさんが手術を受ける際、多くの場合全身麻酔下に行います。また、手術以外にも子どもさんがストレスを感じやすい検査や処置時には、積極的に全身麻酔下で実施することにしています。具体的には大人では麻酔を必要としない耳垢除去などの処置や、内視鏡検査も全身麻酔下で行っています。そのため、手術や処置の間は意識がない状態で苦痛も感じません。
全身麻酔が必要になった場合、術前の麻酔科診察の他に手術室の見学や、当日使用する物品を手に取ってもらうなど、子どもさんの心の準備を行うことでストレスを最小限に抑えるようにしています。詳しい内容はこちらをご覧ください。
子どもさんが手術室に入室後、起きている間に痛みを伴う処置は行いません。全身麻酔は、顔の前にマスクを置いて「吸入麻酔薬(ガス麻酔)」を吸ってもらうことによって開始します。大人と違い、寝てもらった後に点滴を入れることがほとんどです。 また、麻酔から覚めた際に痛みが最小限となるよう神経ブロックや硬膜外麻酔なども多く採用しています。
当センターでは、各科が小児の高度医療を担っていることに対応し、難易度の高い麻酔にも経験が豊富です。
産科麻酔部門
当センター麻酔科では、15名前後の産科麻酔部門所属医師が交代で勤務をして、帝王切開時の麻酔や無痛分娩の麻酔に、24時間365日体制で対応しています。
妊娠中は麻酔にも特別な配慮が必要であるとともに、府内全域及び近県からの母体搬送を受け入れており重症な患者さんも多いため、日々、産科と情報共有をしたり、最新情報を取り入れたりしながら診療にあたっています。また、安全に対する取り組みとして、院内での勉強会や、シミュレーションの実施、蘇生講習の受講などを行っています。
帝王切開では、脊髄くも膜下麻酔や全身麻酔で管理を行っています。また、双胎間輸血症候群(TTTS)に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)をはじめとする胎児治療に関わる麻酔管理も多く行っています。
無痛分娩では、硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔併用硬膜外麻酔を行い、お産の痛みを和らげています。夜間や休日にも対応できるため、麻酔のための誘発分娩は行っておらず、自然に陣痛が来てから、麻酔を開始しています。
安全性を向上させるため、無痛分娩中のお食事は、2020年6月1日から摂取いただけなくなります。消化の良い水分のみ、飲んでいただいて良いことにいたします。ご理解のほどよろしくお願いいたします。ご質問などあれば、麻酔科医にご相談ください。
無痛分娩説明書(PDFファイル 250KB) >>
妊婦さん向けページは、こちらをご覧ください。
産科麻酔管理症例数の推移
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
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産科麻酔全症例数 | 847 | 768 | 907 | 895 |
帝王切開術 | 522 | 440 | 443 | 429 |
無痛分娩 | 207 | 216 | 339 | 351 |
胎児手術(うちFLP) | 46(39) | 43(36) | 61(47) | 52(42) |
その他産科手術 | 72 | 69 | 64 | 63 |
(全分娩数) | 1664 | 1592 | 1669 | 1638 |
当センターでの麻酔科研修や見学のご希望がございましたら、遠慮なく下記までご連絡ください。 麻酔科 主任部長 橘 一也:tatty@wch.opho.jp