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てんかん外科

てんかんに対しては薬物治療が主に行われます。しかし、薬物治療にて十分に発作のコントロールが困難な場合、手術によっててんかん発作を抑えられる可能性があります。 現在行われているてんかん手術は大きく、「根治手術」と「緩和手術」に分けられます。「根治手術」とは、てんかんの元となる領域を切除してしまうことで、海馬切除術などが当てはまります。「緩和手術」はてんかんを完全には抑えられなくても、発作の頻度や程度を減らす手術で、脳梁離断術や迷走神経刺激療法などが当てはまります。すべてのてんかんに対して有効なわけではなく、手術が効果的かどうかをあらかじめ予想し、有効妥当と判断された場合のみ、手術を行います。手術は、当センターまたは提携先である大阪大学にて行います。てんかんに対する外科治療を検討されたい方は、薬物療法を行っている主治医と相談し、「てんかん外科外来」受診をご検討ください。

痙縮に対するボツリヌス菌毒素製剤療法、バクロフェン髄注療法

脳や脊髄の病気が原因で、体の一部あるいは多くの筋肉が過剰に緊張、収縮してしまう病気を痙縮または、痙性麻痺といいます。首の筋肉で起こり、首が曲がってしまう場合は、痙性斜頸と呼ばれます。そのような症状が起こった場合、まずは、全身の筋肉をほぐしたり、神経の過剰な反応を弱めたりするような薬を使用します。それでも十分な効果が得られない場合は、ボツリヌス菌毒素製剤療法やバクロフェン髄注療法を行います。

ボツリヌス菌毒素製剤は神経と筋肉の連絡を遮断し、筋肉に対する過剰な神経伝達を抑制します。緊張の強い筋肉にのみ注射する事で、必要な筋肉の収縮のみを軽減することが可能です。2-3ヶ月に1回、外来にて注射する必要があります。

バクロフェンは、神経に作用して活動を低下させる薬です。バクロフェンを脊髄の髄液中に投与すると、脳以外の神経の活動を低下させることができます。全身の筋肉が過緊張している場合、全身の筋肉に作用させることができます。ただ、バクロフェンは長時間作用し続けることができないので、髄液中に持続的に注入し続ける必要があります。そのため、バクロフェンの入ったポンプを体内(通常はお腹の皮下)に埋め込み、そこから脊髄髄液腔にまで細いチューブを通して持続的に注入していきます。バクロフェンは、数ヶ月に1回、外来にて補充する必要があります。補充は、皮膚の上からポンプに向けて注射をさして行います。ポンプの電池は5年ほどで切れますので、電池が切れる前にポンプの入れ替え術が必要になります。バクロフェン髄注療法が効果的かどうか確かめるため、事前に試験を行います。一時的にバクロフェンを脊髄髄液腔に注入して筋緊張が緩むかどうかを判定し、効果があると判断した場合にのみバクロフェン髄注療法を行います。

これらの治療を検討される方は、当センター脳神経外科、橋本医師の初診外来を受診してください。

頭の形の異常

近年、赤ちゃんの頭の形について、話題に上ることがあります。赤ちゃんの頭の形が異常となる原因は、多くの場合、寝ている頭の位置による変形(頭位性斜頭)です。真上を向いて寝てばかりいると、後頭部が平坦、いわゆる「絶壁」になります。斜めを向いていると左右どちらかが平坦になる「斜頭蓋」になります。一度平坦になるとそこを下にして寝た方が安定するのでそればかりして、どんどんとひどくなります。枕などを駆使する事で修正可能ですが、首の力が強くなると難しくなります。ほぼ見た目だけの問題ではありますが、眼鏡が合いにくくなったり、体のバランスが崩れたりといった問題が生じる可能性もあります。その場合は、ヘルメットを使用した頭蓋矯正を行うことができます。病気ではありませんので、保険は効かず全額自費(40-60万円)となります。

そのほかの、赤ちゃんの頭の形が異常となる原因として、「頭蓋骨縫合早期癒合症」という病気があります。これは頭蓋骨が成長するために必要な「頭蓋骨縫合」が癒合、消失してしまい、頭蓋骨が成長できなくなり、あたまの形が変形したり、頭が小さくなったりします。ひどい場合には脳を圧迫してしまいますので、頭蓋拡大形成術(手術で頭蓋骨を拡大する)が必要な場合もあります。

「頭位性斜頭」と「頭蓋骨縫合早期癒合症」は形や経過などからある程度区別することが可能ですが、確実に診断する場合はCTやレントゲンを撮影する必要があります。当センターでは、「あたまの形外来」を開設しておりますので、あたまの形で心配があれば、受診をご検討ください。「あたまの形外来」は紹介状が不要です。

停止性水頭症に対するVPシャント抜去

水頭症に対してVPシャントが留置されている患者さんの中で、一部ではありますが、経過中に水頭症が治り、VPシャントが不要になる方がおられます。そのような場合、VPシャントを抜去することが可能です。経過中、知らないうちにVPシャントが閉塞したが全く症状が出ず、定期検査で偶然発見された場合は抜去可能ですが、そうでない場合は、VPシャントが不要になっているかどうかの判断はとても難しいのです。一般的には、髄液の吸収障害で水頭症になったが、成長の過程で髄液の吸収が回復しやすい水頭症で、VPシャントが抜去しやすいと言われています。具体的には、脊髄髄膜瘤に合併した水頭症や脳室内出血後水頭症、髄膜炎後水頭症が当てはまります。また、以下の条件を満たすことも必要です。

条件

  • 過去にVPシャント閉塞で症状が出現したことがないこと。
  • 画像上、脳脊髄液の流れに明らかな閉塞部位がないこと。

上記の条件を満たし、希望がある場合は、以下の手順で抜去を進めていきます。

  • 圧可変式シャントバルブの場合は、最高圧(最も流れにくい)に変更。
  • 症状が出なければ、腹腔管を外部に出し(外ドレナージ化術)、袋に髄液が貯留する状態にします。
  • 1日の髄液排液量を計測します。
  • 一時的に排液を止めて、症状が出現しないかチェックします。
  • 症状が出てきたら、すぐに排液を再開します。
    (何度か繰り返して、体が慣れるのを待つことも可能です)
  • 場合によっては、髄液産生量を減少させる薬を使用します。
  • 1週間ほどの経過で症状が出ず、脳室サイズも余り変わらないようなら、VPシャントを抜去します。

VPシャントが留置されており、抜去を考えたい方は、外来主治医に相談してください。