分娩麻痺の定義
お産を経験された方は実感としてご存じでしょうが、赤ちゃんがお母さんから生まれ出てくることはとても大変なことです。赤ちゃんは子宮の収縮力によって狭い産道を押し出され、それでも力不足の場合は医師や助産婦によって助けられながら、生まれてきます。その経過中には予想以上の力が腕に行く神経にかかることがあります。その力が一定限界を超えると神経が麻痺してしまう、この状態を分娩麻痺といいます。
腕神経叢の解剖分娩麻痺で最も一般的なものは腕神経叢麻痺です。
腕神経叢は腕に行く神経の束(たば)で、脊髄とつながっています。脊髄は背骨の中を通っている脳の続きの神経です。この腕神経叢が完全に麻痺すると腕は全く動かなくなりますし、部分的に麻痺すると腕の一部の動きが麻痺します。腕神経叢は5つの神経根からなり、それらは頭の方からC5、C6、C7、C8、T1神経根と名前が付いています。