
総肺静脈還流異常症(TAPVC:Total Anomalous Pulmonary Venous Connection)は、生まれつき肺から心臓へ戻る血管(肺静脈)が正常な位置につながらず、別の場所へつながっている先天性心疾患です。血液中の酸素が十分に全身へ運ばれにくくなるため、「チアノーゼ性心疾患」の一つに分類されます。
通常、肺で酸素を受け取った血液は肺静脈を通って左心房へ戻ります。しかし総肺静脈還流異常症では、肺静脈が左心房につながっていないため、全身へ十分な酸素を送ることができません。
病気のタイプによって症状の現れ方は異なりますが、多くの場合、生後早期から呼吸状態や酸素状態が悪くなり、早急な治療が必要となります。
一方で、一部の病型では症状が比較的軽く、生後数か月経ってから発見されることもあります。
総肺静脈還流異常症は自然に治ることはなく、根本的な治療には外科手術が必要です
手術では、異常な場所につながっている肺静脈を本来つながるべき左心房へつなぎ直します。
手術の時期は病状や病型によって異なりますが、多くのお子さんでは出生後早い時期に治療が行われます。
近年は手術技術や集中治療の進歩により、完全大血管転位症の治療成績は非常に良好となっています。
多くのお子さんが安全に手術を受けることができ、成長後は学校生活や運動、日常生活を健常児とほぼ変わりなく送ることが可能です。
手術後に注意が必要な合併症の一つに「肺静脈狭窄」があります。
これは肺静脈が再び狭くなってしまう状態で、呼吸状態の悪化や心臓への負担につながることがあります。
肺静脈狭窄が生じた場合には、
などが必要になることがあります。
治療が一度で終わらず、複数回のカテーテル治療が必要となる場合もあります。
総肺静脈還流異常症は、生後早期から治療が必要となる重症の先天性心疾患ですが、現在では多くのお子さんが安全に手術を受け、元気に成長されています。
一方で、肺静脈狭窄などの合併症を早期に発見するため、手術後も定期的な外来受診や検査が大切です。
私たちはお子さんの成長と健康を長期的にサポートしてまいります。ご不安なことやご心配なことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
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