先天性代謝異常検査

先天性代謝異常検査(新生児スクリーニング)

新生児スクリーニングとは

臨床検査部門新生児スクリーニング検査とは、新生児を対象として心身障がい(精神発達遅延や痙攣などの脳障がいやその他心身発達障がい)の発生を予防するため、早期治療 の効果的な疾患を対象として早期発見のための検査を行い、発症前のできるだけ早い時期に専門医による治療を開始しようというシステムで、ワクチン接種とと もにわが国の予防医学施策の一環を担っています。このため基本的には検査にかかる費用全額を公費で負担して行ないます。
対象疾患として全国的には、厚生労働省の通達に準じアミノ酸代謝異常症3疾患・ガラクトース血症・甲状腺機能低下症・副腎過形成症の6疾患として実施されていますが、大阪母子医療センターでは、タンデムマスと呼ばれる新しい分析装置を導入して、有機酸代謝異常症・脂肪酸β酸化異常症を含む19 疾患を新たに追加した拡大スクリーニングの治験検討を終え、平成24年4月からは正式な行政事業として実施しています。

対象疾患

基礎スクリーニング6疾患(全自治体共通)

  • 先天性甲状腺機能低下症
  • 副腎過形成症
  • ガラクトース血症
  • フェニルケトン尿症
  • メープルシロップ尿症
  • ホモシスチン尿症

拡張スクリーニング一次疾患13疾患

アミノ酸代謝異常
  • シトルリン血症Ⅰ型
  • アルギニノコハク酸尿症
有機酸代謝異常
  • メチルマロン酸尿症
  • プロピオン酸血症
  • イソ吉草酸血症
  • メチルクロトニルグリシン尿症
  • ヒドロキシメチルグルタルサン尿症
  • 複合カルボキシラーゼ欠損症
  • グルタル酸尿症Ⅰ型
脂肪酸β酸化異常
  • 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症
  • 長鎖ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症・三頭酵素欠損症
  • 極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症
  • カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠ欠損症

拡張スクリーニング二次対象疾患(現時点で発見が困難で、治療効果が明らかでない疾患)

アミノ酸代謝異常
  • シトリン欠損症
有機酸代謝異常
  • 3ケトチオラーゼ欠損症
脂肪酸β酸化異常症
  • カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ欠損症
  • 全身性カルニチン欠乏症
  • グルタル酸尿症Ⅱ型

検査費用

臨床検査部門スクリーニング検査の分析にかかる全費用は、大阪府及び堺市が公費で負担します。
(ただし各医療機関で行う採血料及び検体送付にかかる費用は自己負担をお願いいたします。)

検体提出

保護者の希望にもとづき、生後5~7日の時点で十分な哺乳確立後、医療機関において先天性代謝異常検査用採血ろ紙(全国統一規格)に採血し、自然乾燥させ専用封筒に入れて提出されます。

受検率

出生数に対する受検率は、おおよそ100%に達し、大阪府所管及び堺市所管の医療機関で出生された年間5万件あまりの新生児を対象に新生児スクリーニングを実施しています。

大阪母子医療センターでのスクリーニングの特徴

大阪母子医療センターでは、全国に先駆けてタンデムマス分析装置を導入し、保護者様の同意を確認しながら厚生労働科学研究に参加して、有機酸代謝異常症・脂肪酸β酸化異常症などわが国の新しい拡張スクリーニングシステムの確立に努めてきました。この間に多くの患者さんの早期発見・早期治療を行い、心身障がいや突然死の防止に成果を上げ、大阪府・堺市の母子保健行政に貢献することができました。この成果をもとに。平成24年4月より、大阪府・堺市では対象25疾患の新しい拡張スクリーニングを正式な行政事業として大阪母子医療センターで開始しています。

検査室では、二次検査法としてアミノ酸分析機、GC/MS分析装置を有し、日本マス・スクリーニング学会認定技師が専任で検査を担当し、他自治体の検査担当者のための学会指定研修施設として認定されています。
また、大阪府母子保健運営協議会の専門部会として、新生児スクリーニング検査の問題点を協議する外部有識者組織を有し、代謝異常症を専門とする院内診療科、大学医学部や院内研究所、関連医療機関や行政組織との連絡体制も整備されており、患児発見後の速やかな対応も可能となっています。組織運営形態、規模、検体数、医師や技術者など学会の提唱する新生児スクリーニング検査の施設基準を満たす数少ない施設です。