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主な疾患の解説と当科の方針

ネフローゼ症候群

尿に蛋白がたくさん出るために、血液の蛋白が減少している状態をネフローゼと呼びます。尿検査以外では顔や下腿のむくみ(浮腫)で気づかれることが多い病気です。

1.子どものネフローゼの特徴

小児のネフローゼ症候群は副腎皮質ホルモン(ステロイド)治療で約90%の患者さんで蛋白が一旦消失しますが、中止や減量により再発しやすいのが特徴です。しかし、思春期頃には再発もなくなり、治ることが多いとされています。また、ステロイドにより尿蛋白が消失すれば、腎機能が悪くなることはないとされています。

2.当科におけるネフローゼの治療方針

  • 初発時は入院治療を原則とし、再発時で浮腫が強くない場合は外来での治療も行っています。入院治療の場合、病棟は感染症患者さんが少ないので、ステロイドを多く服用して感染症に罹りやすいとされている期間でも、個室の中で過ごす必要はなく、プレイルームで遊ぶこともできます。また、保護者が付き添いする必要はありません(付き添いすることも可能)。
  • 再発を繰り返す場合は、ステロイドと免疫抑制剤を上手に組み合わせて治療を行うことがポイントです。免疫抑制剤を使用する場合は血中濃度をモニターし、副作用が少なく、十分な効果が得られるように投与量を調節しています。免疫抑制剤治療は重大な副作用を認めることがあるので、これらの薬剤に使用経験が豊富な小児の腎臓専門医による治療、またはコンサルトを受けられることをおすすめします。
  • ステロイドや免疫抑制剤を使用しても蛋白が消失しない場合は、LDL吸着療法や血漿交換を行っています。 安静・食事療法に関する当科の方針は小児期腎疾患の生活管理の項を参照ください。腎臓専門医(小児科)に関しては日本腎臓学会のホームページをご覧ください。

IgA腎症(IgA腎炎)

慢性腎炎の代表(原発性糸球体腎炎の40%以上)で、腎生検を行うことで診断されます。学校検尿などの集団検尿で発見されることが多い病気ですが、肉眼的血尿で気づかれることもあります。小児期発症のIgA腎症は予後良好であると考えられていましたが、最近では腎生検所見が中等度以上のIgA腎症は、積極的な治療を行わないと長期予後が不良であることが明らかとなってきました。

1.腎生検所見が比較的軽度のIgA腎症の薬物治療

アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(ARB)を主に用います。

2.腎生検所見が中等度以上のIgA腎症の薬物治療

ステロイドと免疫抑制剤と抗凝固剤、抗血小板剤を用いたカクテル療法を主に行います。

3.扁桃腺摘出

扁桃腺を摘出することが、長期予後を改善するか否かについての結論はまだ出ていません。しかし、上気道炎に伴って肉眼的血尿を繰り返す患者さんの扁桃を摘出すると、その後の肉眼的血尿の頻度は減少するので、患者さんや保護者と相談の上、肉眼的血尿を繰り返す場合は扁桃腺を摘出しています。

4.扁摘パルス療法

主に成人の領域で行われている治療法ですが、当科ではIgA腎症の患者さんに対して、一律に扁摘パルス療法を行うことはありません。扁桃腺摘出の必要性や腎生検結果を参考に、比較的重症の患者さんに対しての治療法の一つとして位置づけています。

5.安静・食事療法

安静・食事療法に関する当科の方針は小児期腎疾患の生活管理の項を参照ください。

慢性腎不全

腎機能が持続的、非可逆的に低下することにより、体の恒常性が保てなくなった状態を慢性腎不全といいます。一般的には腎機能が正常の50~60%以下が持続する状態です。

1.原因疾患

アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(ARB)を主に用います。

2.症状

ゆっくりと進行してきた場合、末期になるまで自覚症状に乏しいのが特徴です。進行すると成長障害、貧血や易疲労感など種々の症状を呈します。 低/異形成腎による慢性腎不全では、多飲・多尿、夜尿で発見されることもあります。

3.小児期慢性腎不全の特徴と注意点

一般的な腎不全の解説書は大人の腎不全向けに書かれているため、小児にそのまま当てはめることは危険です。低/異形成腎では、尿量の多い期間が長く続くため、ほとんどの患者さんでは水分制限を行う必要はありません。また、成人と同じ食事療法を行えば、成長や発育が障害されます。 誤った対応は小児に必要な成長は発育を阻害するだけでなく、社会への不適応もきたしかねません。早期から腎不全治療の経験が豊富な小児腎臓病専門医が治療に関与することが必要です。

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