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骨髄非破壊的移植(RIST)

はじめに

近年、小児血液腫瘍の治療法や移植における支持療法の向上とともに、小児がん患者さんの多くのが治癒を期待できるようになっています。小児においては病気を治すだけでなく、成長障害や不妊、二次がんといった晩期合併症を可能な限り減らすことが今後の課題であり、当科では強度減弱型前処置による移植に積極的に取り組んでいます。また、当科は難治性や再発症例に対する造血幹細胞移植を積極的に行っています。

RICとは

細胞毒性・組織傷害の強い従来型の骨髄破壊的前処置(myeloablative conditioning: MAC)に耐えられないような高齢者や合併症を有する成人にも造血幹細胞移植を可能にする目的で、1990年代後半以降、強度減弱型前処置(reduced-intensity conditioning: RIC)や、『ミニ移植』とも呼ばれるさらに強度を弱めた骨髄非破壊的前処置(non-myeloablative conditioning: NMA)を用いた移植が行われるようになってきました。これらRICやNMAはドナー由来免疫担当細胞による抗白血病効果(GVL効果)あるいは抗腫瘍効果(GVT効果)を重視した方法です。

すなわち、RICは従来型の移植前処置と比べ、前処置強度を軽減することで移植関連合併症を最小限に抑えつつ、免疫細胞療法としての治療効果を引き出すというコンセプトに基づいた移植方法です。

治療効果に関しては、小児白血病に対する移植におけるRICを用いた移植成績は、MACを用いた移植成績に遜色がないことが報告されています。(Kato K, et al. Blood 2015) RICはこのように当初高齢者を対象として開発された移植前処置ですが、従来の移植前処置と比べて細胞毒性、組織障害が軽度であることから、移植関連の急性期、晩期合併症を軽減できる可能性のある移植前処置として小児におけるメリットが高い方法として期待されています。

今後の方針として、RICの移植成績をさらに向上させるため、分子標的治療薬や免疫療法などの併用に取り組むことを考えています。

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