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移植後の晩期合併症

急性白血病など血液がんの治療では、造血幹細胞移植(以下略:移植)が行われることがあります。移植は化学療法で治しきれない場合の強力な治療手段です。移植の前には放射線照射や抗がん剤投与など、いわゆる前処置を行います。前処置などの影響で、移植後に数年以上を経て、晩期合併症が一定頻度で認められます。

従来型の骨髄破壊的前処置(MAC)に対し、当センターでは2001年以降、強度減弱前処置(RIC)を積極的に導入するようになりました。MACに比べ、RICでは晩期合併症の発生割合が低いことが分かってきました。当センターでの例として、低身長、無月経、高脂血症、二次がんの発生割合を図1 に示します [1]。現時点では統計的有意差がついているのは無月経だけですが、長期にフォローすることでより詳細に分かってくると考えています。

参考情報

MACの基本骨格は、全身放射線照射とアルキル化剤1剤の組み合わせ、または全身放射線照射なしでのアルキル化剤2剤となっています。RICの基本骨格は、お薬フルダラビンを併用し、全身放射線照射なしで、アルキル化剤も1剤にとどめています。

参考文献

  1. 清水真理子, 佐藤真穂. 小児移植におけるreduced-intensity conditioning (RIC):移植関連晩期合併症軽減. 日本造血細胞移植学会雑誌. 2020; 9(2): 53-59.

図1:晩期合併症の発生割合

横軸に移植後の経過年数、縦軸に累積発生割合を示した。低身長は-2.0SD未満、高脂血症と二次がんは要治療の時点とした。最終身長には移植時期の影響が大きく関わり、幼少期にMACで移植すると低身長はより高率かつ顕著となる。(参考文献1. Figure 2を改変して表示)

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