がんを発症した場合、その治療強度により、将来に自分の子どもが授かれない可能性があります。お薬(抗がん剤)、放射線治療、造血幹細胞移植などの影響が卵巣や精巣にも及び、月経、卵子、造精能(精子を作る能力)を失うからです。それは小児がんでも、AYA世代(思春期・若年成人期)のがんでも例外ではありません。
当センターは、大阪がん・生殖医療ネットワーク(OO-net)に参画し、妊孕性温存療法(精子や卵子の凍結保存)に積極的に取り組んでいます。凍結保存は自費診療です。ただ2021年からは、公的事業「妊よう性温存治療費助成」として、精子保存では2.5〜35万円、卵子・卵巣組織保存では20〜40万円までの助成が受けられるようになりました。具体的には、がんと診断されれば治療準備と併行して、妊孕性温存療法について主治医からまずご説明いたします。そして患者支援センター小児がん相談員から、妊孕性温存療法が可能な産婦人科医療機関への橋渡し(施設選定や紹介)をご一緒にさせていただきます。
もちろん思春期未満であれば精子形成や月経がなく、精子や卵子の保存は一般的には不可能です。また、がんの状態により治療開始までの猶予が異なり、がんの種類によっては卵巣などへの浸潤・転移の可能性もあり、適性は個人個人で異なります。当センターは小児病院ですが、それでも一定数の実績を年々更新しております(表1)。
凍結保存 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|
卵子 | 0 | 0 | 1 |
精子 | 2 | 1 | 0 |
小児医療部門
(内科系)
中央診療部門