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診療科・部門のご案内

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唇裂の手術

1.手術時期

当科では概ね、生後3か月、体重5Kgを目安に手術を行っています。
できるだけ早期に手術を受けたいと希望する家族の心情を重視して、より早い時期に手術を行うとする考えも一部にはあります。
しかし十分に満足のいく結果を得るためには、切開線の設計や手術操作を確実に行うことができるだけの大きさになるまで手術を待ったほうが良いと思います。
特に、口蓋裂を合併した唇裂口蓋裂の場合は上顎の著しい変形を伴いますので、唇裂の手術までにホッツ床によって上顎の矯正を行った方が手術成績が良くなります。

2.手術の方法

1.片側性の場合

片側性の場合、患側の鼻翼は扁平で鼻柱は健側へ偏位しています。さらに完全裂の患児の場合は、患側の鼻翼基部が外下方及び後方へ大きく偏位しています。
手術では口唇の閉鎖のみならず、鼻の形態も修正する必要があります。
私どもはミラード法という手術法を基にして、当科の西尾が長年の経験からさまざまな改良を加えたミラード変法という手術法を用いています。

片側性の場合の手術の方法

手術前後の状態を写真に示します。
最近の手術手技は目覚しく進歩しており、口唇の高さもそろい、鼻の形もほぼ満足のいく状態です。傷跡は殆ど目立たなくなっています。

片側性の場合の手術の方法
片側性の場合の手術の方法

しかし乳児期での形成には限界があり、高度の変形を伴う患児では、小学校への就学前(5~6歳)あるいは、顎顔面の成長が終了した16~18歳頃に修正の手術を必要とします。

2.両側性の場合

両側性の場合は、片側性裂とは異なり、左右の対称性はありますが、鼻柱は短く、鼻は両方とも扁平です。
手術は両側同時に行う場合と、片側ずつ2回にわけて行う場合があり、裂の程度によって違います。さらに中間顎(左右の裂の中央にある上顎)が前方に突出 している場合には、レイサム装置と呼ばれる上顎の矯正装置を装着し、口唇形成を行う前に上顎の形態を整えます。
レイサム装置の装着は全身麻酔下で行い、上顎の矯正には約1か月を要します。

両側性の場合の手術の方法

3.手術後のケア

術後2週間は口唇部の創部を安静にするために、特殊なニップル(細口ニップル)を用いて哺乳していただきます。
退院後3か月は創部を目立たなくするようにテーピングを行います。

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