唇裂口蓋裂の患者さんでは、歯の数が不足していたり、歯の生えてくる位置や方向が乱れたりすることがあります。また手術の影響で上あごの幅や奥行が小さく反対咬合(受け口)になる場合もあります。このため、歯並びや咬み合わせ、発音に影響がみられます。したがって、矯正歯科治療が必要となります。
しかし、歯の位置や形が悪いために、虫歯になりやすく、矯正装置をつけることができない患者さんもいらっしゃいます。そこで、乳歯が生え始める頃から定期的に歯みがき指導を行います。
矯正歯科治療の開始時期は、おおむね4~5歳頃に咬み合わせや歯並びについて詳しく検査を行って決めます。著しい反対咬合がみられた場合には、この時期から開始します。幼児期に咬み合わせを改善し、しっかり咬めるようになると上あごの発育も進みます。
顎裂(上顎の骨の隙間)があり歯を隙間なく並べることができない場合には、この部分に骨を埋める手術を行います。これにより、上あごは一続きとなり、裂のない人と同じような歯並びの矯正歯科治療ができるようになります。
ブラケットや針金を使った本格的な矯正歯科治療は、多少個人差はありますが、犬歯が生える頃から12歳臼歯が萌えそろう頃に開始します。これにより、顎裂部に歯がない場合でも、後ろの歯を前に移動することができるので、入れ歯やブリッジをはめずによく咬める美しい歯並びをつくることができます。ブラケットをはずした後は、後戻りを防ぐ装置を使用します。
矯正歯科治療のメリットとデメリットとして、主に次のようなことが考えられます。
当科では、主に口唇口蓋裂患者さんの矯正歯科治療を行っております。その他保険診療が適用される患者さんの矯正歯科治療を行っていますが、自費診療は行っていません。
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