1. 手術時期
口蓋裂手術の時期を決定するには、発音機能の回復と上顎の発育という両面を考慮しなければなりません。発音機能の面から言うと、手術時期はできるだけ早いほうが有利です。
しかし手術時期があまりに早いと上顎の発育が非常に悪くなります。
当科では、発音機能の回復に影響を与えず、かつ上顎発育抑制もできるだけ少なくするという考えから、1歳前後に上顎の後ろ半分(軟口蓋)を閉鎖し、1歳半頃に上顎の前方部(硬口蓋)を閉鎖する2段階手術を行っています(完全唇裂口蓋裂に対してのみ)。
この手術法を用いることによって、上顎の発育抑制が大きく軽減し、かつ発音機能に対する影響も改善していることが分かっています。ただし裂の状態によっては1回で閉鎖してしまう方が良いこともあります。また唇裂を伴わない口蓋裂のみの場合は1回で形成術を行います。