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口蓋裂の手術

1. 手術時期

口蓋裂手術の時期を決定するには、発音機能の回復と上顎の発育という両面を考慮しなければなりません。発音機能の面から言うと、手術時期はできるだけ早いほうが有利です。
しかし手術時期があまりに早いと上顎の発育が非常に悪くなります。
当科では、発音機能の回復に影響を与えず、かつ上顎発育抑制もできるだけ少なくするという考えから、1歳前後に上顎の後ろ半分(軟口蓋)を閉鎖し、1歳半頃に上顎の前方部(硬口蓋)を閉鎖する2段階手術を行っています(完全唇裂口蓋裂に対してのみ)。
この手術法を用いることによって、上顎の発育抑制が大きく軽減し、かつ発音機能に対する影響も改善していることが分かっています。ただし裂の状態によっては1回で閉鎖してしまう方が良いこともあります。また唇裂を伴わない口蓋裂のみの場合は1回で形成術を行います。

2. 手術の方法

口蓋裂の患児では上顎に裂隙があります。
それと共に、本来左右から中央で繋がっているはずの筋肉が、裂のために中央で左右に分かれています。また口蓋垂(のどちんこ)が前方に引かれ、軟口蓋が短くなっています。したがって、口蓋裂の手術は単に裂隙を閉じるだけでなく、軟口蓋を長くすると共に、左右の筋肉を連結させなければなりません。
口蓋形成術は多くの方法が考案されてきましたが、当科では主にファーロー法という方法に改良を加えた手術法を用いています。
1歳半頃に行う硬口蓋の閉鎖術にはボウ法を用いています

ファーロー法

ファーロー法は軟口蓋の口腔側及び鼻腔側に相対するZ型の切開を加えて軟口蓋を長くする方法です。
上顎の発育障害の原因となる、手術による骨の露出面積が非常に少ないのが特徴です。この方法では軟口蓋を十分に延長できますし、上顎の骨格に対する手術侵襲も小さく、手術による上顎への発育障害は軽減されることが確認されています。

軟口蓋形成術(1歳前後)
口蓋前方の形成術(1歳半前後)

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